季節性のインフルエンザであれば、ウイルスは気道から侵入して肺炎を起こしていくが、新型コロナウイルスは、人間の「血管内皮」にウイルスがびっしりと付着しています。
このウイルスは季節性のインフルエンザとは違って、風邪などと同じコロナウイルスの新種と言われています。
人間の細胞の表面には、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)という受容体があり、これと結びついて細胞内に侵入することがわかってきています。
肺や胃腸、腎臓などの細胞に侵入して肺炎を起こすとみられていたが、血管の内皮の細胞にもACE2があり、全身性血管炎症を起こし、血管が破壊されます。
このため、老化や糖尿病や動脈硬化がすすんだ高齢者が重症化しやすいことがわかってきています。
新型コロナウイルスに感染した場合、約80%が軽症であるが、5%が重症化し、さらにその半分の方が亡くなっています。
この病気が重症化する原因は「サイトカインストーム」
新型コロナウイルスが体内に侵入すると、免疫系が察知して攻撃をはじめます。
闘うのはまず白血球のなかのマクロファージと樹状細胞で、それらは闘いながら「サイトカイン」を放出し、炎症反応を引き起こし、リンパ球を呼び寄せ、侵入してきたウイルスを破壊します。
ウイルスを破壊するとき損傷したリンパ球は、これまで以上に「サイトカイン」を放出する。そして免疫系が制御不能になり、炎症反応は増え続け、健康な細胞を破壊し急性肺損傷から多臓器不全を引き起こし、死にいたらしめます。
新型コロナウイルスに対して、植物化学成分が役立つ可能性があり、2016年アリゾナ大学のケリー・ブライト博士の食品の中にウイルスを殺す成分の研究データがあります。
これによるとエンベローブ(ウイルスを覆う膜)をもったウイルスに、植物の抗菌成分のサポニンなどが効果を発揮することが、多くの研究であきらかになっています。
今回の新型コロナウイルスは、エンベローブをもったウイルスであり、かなり期待できそうです。
新型コロナウイルスに対抗できる免疫力を高めるために、注目を浴びているものに、漢方治療があります。
漢方治療はウイルスそのものではなく、ウイルスを攻撃する生体防御能をアップすることを目的としています。
細菌やウイルス感染によりからだが不調を起こしたときに、からだの治る力に作用するのが、漢方薬の役割であります。
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①免疫を高め、炎症を抑える
「補剤(ほざい)」や「麻黄剤(まおうざい)」は免疫を活性化する。
「柴胡剤(さいこざい)」や「清熱剤(せいねつざい)」は過剰な炎症を抑制する。
➁循環障害を改善する
動脈系と静脈系の間にある微小血管の循環障害があれば「くおけつざい」で循環を改善する。
血が足りないときは「補剤(ほざい)」で補う。
➂水分分布を正常化する
水分の分布異常がれば「利水剤(りすいざい)」であまった場所から不足している場所へ移動させる。
水不足がひどければ「滋陰剤(じいんざい)で潤す。
④冷えを改善する
加齢や運動不足などで深部対応が下がった場合、「麻黄(まおう)」「附子(ぶし)」「乾姜(かんきょう)でからだを温める。
漢方医学では、病気の前段階のものを「未病(みびょう)」と呼び、「未病の治療」がもっとも重視されています。
新型コロナウイルス非感染者および無症状病原体保有者は、漢方医学的には「未病」のため、漢方医学がもっとも得意な領域です。
今回の新型コロナウイルスの出元と言われる中国・武漢市。
武漢市の病院では、新型コロナウイルスの治療法として、入院中の軽中度患者および感染者において、サポニン成分を多く含む漢方の「田七人参(≒三七人参)を処方しているとのこと。
サポニンは血液サラサラ成分として漢方の田七人参に多く含まれ、田七人参のサポニンの含有量は高麗人参の約7倍とも言われている。
ぜひ食事療法や運動療法と組み合わせ、睡眠をしっかりとり、漢方療法も利用して、免疫力をアップして、自分のからだは自分で守っていただきたい。
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も参考になれば幸いです。
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